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・ 補助金 / 賃上げ要件

補助金の賃上げ要件を満たせないとき、最初に見直す計算条件

補助金の賃上げが未達になりそうなときは、返還を急いで判断せず、採択回と要件の位置づけを特定します。基準年度・対象者・指標・例外資料を切り分け、事務局へ相談する手順を解説します。

編集:株式会社adding 補助金情報編集部。制度の最終判断は、各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。

補助金の賃上げが未達になりそうなら、最初にすることは返還額の推測ではありません。採択された回・枠・特例と、交付決定時の計画を特定し、その賃上げが基本要件、必須要件、加点のどれだったかを確認します。同じ「賃上げ目標」でも、制度や要件の位置づけが違えば未達時の扱いも同じではないからです。

そのうえで、基準年度・対象者・指標・例外資料を分けて再集計し、未達見込みの段階で事務局へ相談します。業績による未達なのか、算定条件の取り違えなのかを切り分ければ、確認事項が明確になります。ただし、そろえる資料は制度ごとの算定ルールを比べないと決まりません。

補助金の賃上げ未達は、制度名だけで判断しない

2026年9月21日時点のものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領では、1人あたり給与支給総額の目標未達について、未達成率に応じた返還が定められ、年平均成長率がゼロまたはマイナスなら全額返還とされています。一方で、付加価値額が増加せず計画期間の過半数が営業赤字の場合、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合、再生事業者の場合には、返還を求めない扱いも示されています。

同日時点のデジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)では、賃金引上げの加点要件が未達の場合と、賃上げ目標が必須となる申請の未達を分けています。前者は、正当な理由が認められない限り、未達報告から18か月間、中小企業庁所管補助金の申請で大幅な減点を行う扱いです。後者は、効果報告の未提出または所定要件の未達を事務局が確認した場合、補助金の全部または一部の返還を求める扱いです。

つまり、「賃上げ未達なら必ず同じ返還になる」とは整理できません。交付決定通知と申請時の計画から、適用された公募回、枠、特例、目標の位置づけを先に固定します。

未達確認シートで4つの条件を切り分ける

次の判断表は、出典の一般原則を基に記事が提案する実務上の方法で、原典所定の分類・義務ではありません。基準年度の取り違え、算入費目、対象者の増減や換算、企業全体と主たる実施場所の混同を切り分け、例外の適用可能性を根拠資料とともに事務局へ確認するための「未達確認シート」です。

確認欄台帳・資料に書き出すこと確認結果の残し方
基準年度適用される公募回、計画初年度、比較元にした事業年度要領の起点と照合し、採用した年度と根拠箇所を記録する
対象者各年度の従業員、入退社、休業、勤務形態、算定から外した理由対象者ごとに算入・除外・換算を分け、その根拠を記録する
指標給与台帳の費目、分子に含めた額、分母の人数、確認場所給与支給総額と最低賃金を分け、除外費目と事業所の範囲を記録する
例外資料営業状況、天災などの事情、再生事業者に関する該当資料該当し得る条項と資料を対応させ、事務局への質問として残す

まず適用ルールを固定し、そのルールに合わせて対象者と指標を再集計します。例外だけを先に探すと、算定条件の違いを見落とします。

基準年度

ものづくり補助金第23次公募では、補助金額の確定に至った日を含む事業年度が事業計画1年目、その直前事業年度が基準年度です。新規設立などで基準年度となる決算がない場合に限り、1年目と同じ事業年度を基準年度にできます。判定は、3~5年の計画期間最終年度に、非常勤を含む従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率が申請者の設定した目標値に達したかで行われます(2026年9月21日確認)。

社内管理上の「前年」と、公募要領上の基準年度が同じとは限りません。シートには年度名と、その年度を選んだ根拠となる交付・確定の時点を併記します。

対象者

デジタル化・AI導入補助金2026の同枠では、対象者は原則として各算出対象年度に全月分の給与支給を受けた従業員です。中途採用者・退職者は全月支給でない年度に限り除外し、産休・育休・介護休業などによる時短勤務者は除外可能、パートは正社員の就業時間に換算します(2026年9月21日確認)。

人員名簿の人数をそのまま分母に置くのでは足りません。年度ごとに全月支給、除外、換算とその根拠を追える形にします。これは同枠のルールであり、別制度へ転用せず、採択された要領で照合します。

指標

ものづくり補助金第23次公募の1人あたり給与支給総額は、従業員に支払った給料・賃金・賞与などを従業員数で除す指標です。役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は分子に含みません。また、事業所内最低賃金は企業全体ではなく、補助事業の主たる実施場所で最も低い賃金を用い、毎年の事業化状況報告で確認します(2026年9月21日確認)。

デジタル化・AI導入補助金2026の同枠は、給与所得として課税対象となる給料・賃金・賞与・所定の各種手当を含め、役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金を除きます(同日確認)。似た名称でもルールが同一とは限りません。給与台帳には算入・除外費目と根拠箇所を残します。

例外資料

例外は自動的に適用されるものとして扱えません。ものづくり補助金第23次公募では、給与支給総額要件と事業所内最低賃金要件に、営業赤字等、天災等、再生事業者について別の例外条件があります。該当し得る条項と裏付け資料を分け、適用の可否は事務局に確認します。

共通して確認したい3点

  • 適用された版と要件:制度名だけでなく、採択回・枠・特例、交付決定時の目標、基本・必須・加点の別をそろえる。
  • 同じ条件で再集計できる台帳:基準年度、対象者の採否・換算、算入・除外費目、対象事業所を追跡できるようにする。
  • 相談事項と裏付け資料:差が生じた条件、確認したい条項、例外に関係し得る資料の有無を一枚にまとめる。

この3点があれば、どの条件の確認を求めるのかを示せます。申請時の整理に戻るなら補助金の事業計画書の書き方、対象要件も見直すなら補助金の対象かを確認するためのチェックポイントも参照してください。

再集計したら、結論を決めずに早めに相談する

対象制度・採択回、交付決定時の目標、再集計した台帳、差が生じた条件、例外を裏付け得る資料の有無を整理して早期に事務局へ相談する手順は、出典の一般原則を基に記事が提案する実務上の方法で、原典所定の分類・義務ではありません。

ものづくり補助金の補助事業の手引きは、交付決定後に事業内容・実施方法、経費配分、中止・廃止、実施場所などを変更しようとするとき、事前確認または承認が必要であり、必ず事前に事務局へ報告するよう案内しています。交付決定内容は原則変更できず、必要かつ妥当な変更でも認められない場合があるとも示しています(2026年9月21日確認)。相談しただけで賃上げ計画を変更できるわけではないため、変更の可否とは分けて確認します。

賃上げ未達の扱いは、採択された制度と版、要件の位置づけにより異なります。返還の有無や例外適用を自社だけで確定せず、未達確認シートの4欄を埋め、判断が必要な点を事務局に確認することが出発点です。制度は省庁・事務局の公式情報で確認してください。

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